2014年10月30日木曜日

ニホンザル、温泉でスマホ

ニホンザル、温泉でスマホ 英写真コンテストで受賞
2014年の野生生物写真家コンテストの特別賞を受けたニホンザルの写真(マルセル・ファンオーステン氏撮影・共同)

 ロンドンの自然史博物館は29日までに、「今年の野生生物写真家」コンテストで、長野県山ノ内町の地獄谷野猿公苑で温泉につかりながら米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を見るニホンザルの写真が、人気投票に基づく特別賞に選ばれたと発表した。コンテストは同博物館と英放送局BBCワールドワイドが共催した。

 受賞したのは、撮影ツアーを率いていたオランダのマルセル・ファンオーステン氏。旅行者がiPhoneをサルに近づけて写真を撮ろうとして、サルに奪われた場面に出くわし、シャッターを切った。サルは新しい「おもちゃ」に喜び、iPhone内蔵のフラッシュを発光させることにも成功したという。
 コンテストは今年で50回目。96カ国から4万2千点以上の応募があった。(共同)2014.10.30 11:12 産経ニュース

2014年10月29日水曜日

南極探検隊員のノート

南極探検隊員のノート、氷の下から100年ぶりに発見
100年ぶりに発見されたノート= Antarctic Heritage Trust New Zealand提供
(CNN) 英探検家ロバート・スコット率いる南極探検隊のメンバーが書き残し、雪の中に埋もれていた1冊のノートが約100年ぶりに見つかった。
ノートの持ち主は、1910~13年のスコット隊に参加した医師で写真家のジョージ・レビック。スコット隊が1911年に南極大陸に上陸した際、アデア岬の基地で撮影した写真の説明を鉛筆でつづっていた。

南極大陸ではニュージーランドの非営利組織、南極遺産トラストが7年前から、スコット隊の基地や遺品の保存に取り組んできた。ノートは昨年1月、エバンス岬の基地の近くで、解けた雪の下から発見された。製本は崩れてページが張り付いてしまっていたが、同組織が専門家に依頼して復元し、デジタル化して保存した。
レビックが撮影した写真は、英ケンブリッジ大学のスコット極地研究所に保管されている。ノートの説明をこの写真と照らし合わせて読むこともできる。

スコット隊は1912年1月に南極点に到達したが、世界初を争ったノルウェーのアムンゼン隊にわずか33日の差で先を越された。スコットらの一行はこの帰りに遭難死した。南極点へ同行しなかったレビックら6人のチームは夏の間アデア岬で調査活動を続け、氷穴で冬を生き延びた後、エバンス岬の基地へ移動した。2014.10.29 Wed posted at 14:41 JST 

2014年10月28日火曜日

ついつい愚痴る

こんなことがありました。以下、友人に愚痴ったヒトこまです。

 先日、家の駐車場で「ママチャリ」を盗まれました。110番通報したところ、県警のパトカーが来ていろいろ調べていました。ずいぶん大仰だな、どうせ戻らんだろうに・・と思いつつも、被害届を出しました。

 ところが、なんと1か月後見つかったとの連絡がありました。網を張ってくれていたんだな、さすが日本の警察・・・と感謝していた同じ日、車の一時停止違反で捕まりました。

 「ちゃんと安全確認したぞ、予算稼ぎか、やり方が汚い」と怒り心頭に発し、警官に毒づきましたが・・・昨日7000円収めてきました。

 こんなことで活性化していたお粗末アホでした??? ハンセイ、ハンセイ! でもなあ~・・・正直言って、やっぱり、ひっかかるなあ~。
 本当に安全運転のためとノタマワクなら、当方ブレーキ踏んで車が一台も来ていないのを確認しているのだし、陰に隠れてコソコソやらんで欲しい。まったく、何のための一時停止なのだ。やっぱり予算の都合か? そうなら正直に「献金ありがとう」とでも言って欲しいよ。「ひっかかったな~」と笑い飛ばせるんだけど・・・。

川柳 in theラボ

川柳 in theラボ
 研究者の悲哀をよんだら・・・

常識も いちばん最初は 非常識
ボスの言う 「最近どう?」は 「結果まだ?」
クリスマス 盆暮れ正月 ラボにいる
給料が PCRで 増えたなら

1枚の 写真のために 2年間
よし逃げろ 学会帰りの ボスが来た

億年の 進化を宿す ヒトゲノム
いつからか 好きな言葉は アクセプト
土日ラボ これがいちばん 安上がり
ゲノムから 地球と銀河の 意図探る

停電は ラボに来る日か 休む日か

2014年10月25日土曜日

我々はネアンデルタール人との混血だった

我々はネアンデルタール人との混血だった 覆る進化の定説
 人類進化の定説が大きく揺らいでいる。最近の研究では、ネアンデルタール人などの旧人類と現生人類との間に、これまでいわれていたような深い断絶はなく、実はかなりの交わりがあったことが明らかになってきた。むしろ、別の血を入れることが人類をより強く進化させてきたようだ。

■意外に進む混血
遠い祖先から現生人類に至る人類進化の歴史は今、全面的に書き換えられようとしている。画像はイメージ。イラストはKaty Wiedemannによる
 従来の説ではホモ・サピエンス、つまり現生人類がアフリカを出て世界中に広がり始めると、それまでユーラシア大陸に住んでいた同じホモ属のネアンデルタール人などの旧人類は絶滅へと追いやられたとされている。

 進出にあたって、ホモ・サピエンスは旧人類とは交わらず、ネアンデルタール人の遺伝子を次世代に伝える混血の子どもは生まれなかったと考えられてきた。
 旧人類は競争に負け、新参のホモ・サピエンスに取って代わられた。ホモ・サピエンスがアフリカから世界各地に広がる際、出会った旧人類をことごとく全滅させた可能性も指摘されていた。

 ところが、ここ約10年の化石人類の発見ラッシュと遺伝学的研究の発展によって、この定説は大きく書き換えられることになった。
 現生人類とネアンデルタール人の間の解剖学的な共通点に加え、遺伝学的研究からも両者の間に混血があったことがわかってきた。

 その結びつきはかなり強く、今日の非アフリカ系の人々のゲノム(全遺伝情報)の最大3%がネアンデルタール人由来だ。人によってそれぞれネアンデルタール人由来の異なるDNA断片を持っている。そのため、現生人類が受け継いだネアンデルタール人の遺伝情報の総和は3%よりはるかに高く、最近の計算によれば少なくとも20%にはなると考えられている。

 ホモ・サピエンスとの混血があった旧人類はネアンデルタール人だけではなかった。近年発見されたデニソワ人(シベリアの洞窟で見つかった4万年ほど前の謎めいた指の骨から回収されたDNAによって特定された人類集団)も、私たちの先祖との間に混血があった。

■異なる遺伝子で強く
 そうした混血はホモ・サピエンスに有益だったようで、そのおかげでホモ・サピエンスは生存に有利に働く遺伝子を獲得できた。
 例えばネアンデルタール人から受け継いだDNAは免疫力を高めたらしい。またデニソワ人由来のある遺伝子変異は、チベット人が酸素が希薄な高地で生活するのを助けている。


 ホモ属の起源に関する定説も揺らいでいる。従来、ホモ属は東アフリカが起源とされていたが、近年、南アフリカ共和国のマラパで発見された200万年近く前の人類化石は、ホモ属がアフリカ南部に現れた可能性を示唆している。2014/10/25 7:00 日経(詳細は25日発売の日経サイエンス12月号に掲載)

2014年10月23日木曜日

がん狙い撃ち新物質

がん狙い撃ち新物質、シカゴ大・中村教授が発見
 【ワシントン=中島達雄】がん細胞を狙い撃ちする分子標的薬の新しい有力候補となる化合物を見つけたと、米シカゴ大の中村祐輔教授の研究チームが22日、米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に発表した。

 中村教授によると、この化合物を使ってマウスで実験したところ、肺がんが完全に消えたという。
 研究チームは、がん細胞の増殖で重要な役割をする「TOPK」というたんぱく質に注目。30万種類の化合物の中から、TOPKの働きを妨げる化合物を探し出した。

 この化合物を、肺がんのマウス6匹に週2回ずつ3週間、注射した。すると、5匹のがん細胞は、最初の注射から25~29日後に完全に死滅した。TOPKの働きが妨げられ、がんの細胞分裂が止まったとみられる。化合物をそのまま投与すると白血球が減るなどの副作用があったが、化合物を脂質の膜で包む改良を加えると、副作用は小さくなったという。20141023 0307分 読売

謎の恐竜:背中に帆

謎の恐竜:背中に帆 モンゴルで全身化石、発見
半世紀近く「謎の恐竜」とされてきたデイノケイルスの新たな化石がモンゴルから見つかり、全体の姿(想像図)が明らかになった=Yuong-Nam Lee(KIGAM)提供

 長い腕の化石しか見つからず「謎の恐竜」と呼ばれるデイノケイルス(「恐ろしい手」の意味)のほぼ全身の化石が、モンゴルの白亜紀後期(約7000万年前)の地層から見つかり、日本、モンゴル、韓国などの研究チームが23日付の英科学誌ネイチャーに発表した。分析の結果、体長11メートルと巨大で、背中に帆を持つなどユニークな姿だったことが明らかになった。

 新たに見つかった化石は2体。2006年と09年にゴビ砂漠で発掘されたが、1体は頭部がモンゴルから違法に持ち出され、後日ドイツで見つかった。
 2体を合わせると、骨格の全貌が分かり、成体は全長11メートル、体重6・4トンと推定された。細長い頭にはくちばし、背中に大きな帆を持っていた。腹付近から直径8〜87ミリの小石が1400個以上見つかり、腕を使って植物を食べて小石で消化を促していたほか、腹に魚のウロコや骨もあったことから、魚も捕獲していたとみられる。雑食と分かった恐竜は初めてという。


 デイノケイルスは、1965年にモンゴルで肩から指先まで2・4メートルある腕の化石が見つかったが、その後は新たな発見はなく、謎に包まれてきた。チームの小林快次(よしつぐ)・北海道大准教授は「大型草食恐竜のように空洞の多い骨、肉食恐竜にみられる背中の帆、中型草食恐竜のような足と、さまざまな特徴を併せ持っている」と話す。【永山悦子】毎日新聞 20141023日 東京朝刊

2014年10月22日水曜日

重力レンズで太古の銀河を観測

重力レンズで太古の銀河を観測
 
ハッブル宇宙望遠鏡は、手前に位置する銀河団「エイベル23Abell 23)」に阻まれて地球からその姿を見ることができない、はるか彼方にある銀河の3つの画像をとらえることに成功した(写真のabc)。

 130億光年もの彼方にある銀河の3つの画像は、「重力レンズ効果」という現象を利用して観測された。

 その仕組みはこうだ。地球上の観測者とはるか彼方の天体の間に位置する巨大銀河エイベル23によって、遠くの銀河から発せられる光が屈折。レンズのような効果を発揮し、天体が大きく見えるというわけだ。さらには、やはりレンズ効果によって銀河の画像は3つに分割されることになる。
 この小さな銀河はこれまで観察された銀河のなかでも最も遠くにあるものの1つで、原初の宇宙の様子を垣間見る機会を天文学者たちに与えてくれている。


 写真は、NASAと欧州宇宙機関(ESA)により1016日に公開された。 Jane J. Lee, National Geographic News  October 22, 2014

2014年10月11日土曜日

インスリンが体内時計調節

インスリンが体内時計調節 時差ぼけ解消に活用も
 約24時間周期で睡眠や覚醒のリズムを生み出す「体内時計」の調節に、膵臓から分泌されるインスリンが一役買っていることを、山口大時間学研究所の明石真教授らのチームが10日までにマウスを使って解明した。
 チームは食事の際に出る代表的なホルモンとして、糖分を摂取した際に分泌されるインスリンに注目。体内時計への影響を調べたところ、肝臓など食事と深く関わる組織の体内時計に対し強く作用することも分かった。

 明石教授は「糖分の摂取時間を工夫することで、時差ぼけの解消や夜型になりがちな現代人の生活改善に役立つ可能性がある」と期待する。(共同)20141011 0600分 東京新聞

2014年10月10日金曜日

ノーベル賞を受賞しなかった10大発見

ノーベル賞を受賞しなかった10大発見
6日月曜日に発表された2014年ノーベル医学生理学賞を皮切りに、ノーベルウィークと呼ばれるこの週には、偉大な功績を修めた人々を称えて様々な分野で賞が授与される。そこでナショナル ジオグラフィック編集部では、偉大な発見にもかかわらずノーベル賞を受賞しなかったものには、何があるだろうかと考えた。そして、科学ブロガーや科学編集者など、編集部厳選の執筆者に、それぞれがノーベル賞を受けるべきだと考える歴史的進歩や発見を挙げてもらった。

◆インターネット
 1960年、アメリカ連邦政府の研究者たちは、後にインターネットへと進化することとなるコンピューター・コミュニケーション・ネットワークを生み出した。しかし私は、1989年にワールド・ワイド・ウェブを考案し、1990年に世界初のウェブサイト(ウェブとは何かを説明したページ)を立ち上げたイギリスのコンピューター科学者ティム・バーナーズ・リー(Tim Berners-Lee)氏にノーベル賞を授与したいと思う。

 猫が踊る面白ビデオから、アラブの春がまさに進行中の現場から発せられた勇気あるツイートまで、インターネットは情報世界に民主化をもたらした。そして、情報は力である。 (Text by Virginia Hughes, Phenomena blog: Only Human

◆世界初のゲノム解読
 2001年、ヒトゲノムの塩基配列解読が終了した。多くの人々は、科学史上最大の功績ともいうべきこのヒトゲノム計画が、なぜいまだにノーベル賞を受けていないのか不思議に思っている。

 しかしそのヒトゲノム計画が終了する6年前、クレイグ・ヴェンター(Craig Venter)氏とその研究チームは、自動化DNA塩基配列決定法 と全ゲノムショットガン法と呼ばれる技術を組み合わせて、自由生活性有機体であるインフルエンザ菌の全ゲノム配列を解読した。この方法は後に、ヴェンター氏が創立した民間企業で、ショウジョウバエやヒトのゲノム解析に使用した方法と基本的には同じである。さらにその後、他の研究室でも、数百と言う種のDNAを解析する方法として採用されている。 (Text by Jamie Shreeve, National Geographic executive editor for science

◆ブラックホールの死
 スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)氏は1970年のある夜、それまでほぼ永久に死ぬことはないと考えられていたブラックホールが、実は少しずつ質量を失い、最終的にはガンマ線バーストによって蒸発してしまうのではないかとひらめいた。
 問題は、この仮説を証明する手段がないということだった。ブラックホールの寿命はあまりに長すぎて、今日その最期を観測することは不可能だ。

 それでもホーキング氏のブラックホール研究は、今では理論物理学の中に深く組み込まれており、相対論と量子力学を統合させ、情報理論の分野を発展させた。 (Text by Timothy Ferris, National Geographic contributor and author of The Science of Liberty

◆周期表
 1869年にドミトリ・メンデレーエフ(Dmitri Mendeleev)氏が発表した周期表は、単なる元素記号を並べただけのものではない。あらゆる物質の中心にある陽子、中性子、電子の潜在的配列を示し、整然と並んだ縦横のマスは、当時まだ発見されていなかった元素と、その特徴までも予測していた。

 これほどの偉大な発見が化学の最高の栄誉であるノーベル賞を受賞しなかったのは信じがたい話だが、周期表は化学の分野において最も価値あるポスターとなり、何世代にもわたって今も世界中の研究室の壁に貼られている。 (Text by Erika Engelhaupt, National Geographic online science editor

◆白熱電球
 まずイギリスでジョセフ・スワン(Joseph Swan)氏が特許を取得し、トーマス・エジソン(Thomas Edison)氏が実用化した白熱電球は、現代経済(と睡眠不足)を築き上げ、今日私たちの生活を根底から支える電気への莫大な需要を生み出した。

 エジソン氏は、ノーベル賞を受けることなく1931年にこの世を去った。彼の遺した電球は、まさに科学的ひらめきを象徴するシンボルではないか。歴史的不正義とはこのことである。 (Text by Dan Vergano, National Geographic science writer

◆クォーク
 マレー・ゲルマン(Murray Gell-Mann)氏は1969年に、「素粒子の分類と相互作用に関する発見と貢献」でノーベル物理学賞を受賞した。

 しかしゲルマン氏の名を最も世に知らしめたクォークの研究に対しては、いまだ賞が与えられていない。クォークとは、物質の基本的な構成要素で、互いに結合して陽子、中性子、その他の粒子を構成する。クォークの発見により、物質世界への理解がより深められることとなった。 (Text by George Johnson, National Geographic contributor and author ofStrange Beauty

◆現代進化論
 1901年に最初のノーベル賞が授与された時、進化生物学はまだ若い分野だった。 生命がいかに世代を追うごとに変化してきたかについての肝心な詳細を、当時の生物学者たちはほとんど知らなかった。

 19201950年代にかけて、遺伝学者、博物学者、古生物学者など一部の科学者たちの間で、突然変異がどのように起こり、拡大し、進化の元となって行くのかが知られるようになり、この生命への新たな見解が、総合説または現代進化論として知られるようになった。彼らの業績によって今日、生命の歴史に関する私たちの知識は目覚しい進歩を遂げている。 (Text by Carl Zimmer, Phenomena blog: The Loom

◆暗黒物質
 1970年、ベラ・ルービン(Vera Rubin)氏とケント・フォード(Kent Ford)氏は、銀河の周縁部にある星たちが銀河の中心に近い星と同じ速さで動いていることに気付いた。そして、銀河系はあまりに猛烈な速さで旋回しており、何か目に見えない物質が重力に働いて星々を繋ぎとめているのでない限り、銀河系はバラバラに飛び散っているはずであると考えた。

 その何か目に見えないものが、暗黒物質と呼ばれるものだ。宇宙の質量の約90%を占めている謎の物質である。光を発したり反射することなく、普通の物質とどんな形でも作用し合うことはない。 (Text by Nadia Drake, Phenomena blog: No Place Like Home

◆系統樹
 科学者たちが微生物をその形態で分類していた頃、カール・ウーズ(Carl Woese)氏は微生物の遺伝子を比較してその相互関係を予測するという方法を開拓した。

 彼のやり方は、それまで認識されていなかった生物のドメイン(領域)である微小な古細菌の存在を明らかにした。科学者たちはこれを基に、人間の体内に住んで健康へ影響を与える様々な微生物をカタログ化し、大小様々な生命体の進化的関係を図に書き表した。 (Text by Ed Yong, Phenomena blog: Not Exactly Rocket Science

◆恐竜ルネサンス
 1969年、イェール大学の古生物学者ジョン・オストロム(John Ostrom)氏は、史上最も重要な種の発見の一つと言われる11000万年前の恐竜にデイノニクス(怖ろしい鉤ツメ)という名を与えた。

 人間ほどの大きさの捕食恐竜で、それまで一般に考えられていたような、動きが緩慢で頭の悪い、沼に住む恐竜のイメージとは大きく異なる。オストロム氏によれば、デイノニクスは敏捷で恐らく社会性があり、狩りをする非常に活動的な生物だったであろうという。この説が「恐竜ルネサンス」を呼び起こし、今に至るまで科学的成果を生み続けている。 (Text by Brian Switek, Phenomena blog: Laelaps

National Geographic staff October 9, 2014

世界最古の洞窟壁画か

世界最古の洞窟壁画か…インドネシア、約4万年前 米誌ナショナルジオグラフィック
インドネシア・スラウェシ島に残る、動物などを描いた洞窟壁画。世界最古とみられる=撮影年月日不明(ロイター)
 米誌ナショナルジオグラフィックは9日までに、インドネシアのスラウェシ島に残る洞窟壁画が、約4万年前に描かれた「世界最古の芸術作品」となる可能性があるとの専門家の研究結果を伝えた。

 同誌によると、これまで最古の洞窟壁画とされるのはスペインのエル・カスティージョ洞窟のもの。約4万800年前に描かれたとされる赤い円や、約3万7300年前と推定される手形の絵が知られている。

 オーストラリア・グリフィス大学の考古学者らが、洞窟壁面のウラン含有量に基づく年代測定法を使い、スラウェシ島の壁画を調査。その結果、同島マロス洞窟の手形は、少なくとも3万9900年前のもので、さらに古い可能性があると確認された。

 同誌は、スペインやフランスなど欧州が起源とされていた洞窟壁画が、人類の祖先がアフリカを離れる段階には始まっていたと推測されるとの専門家の見方を紹介した。(共同)2014.10.10 01:07 産経ニュース

2014年10月7日火曜日

中村氏ら3氏にノーベル物理学賞 青色LEDを開発

中村氏ら3氏にノーベル物理学賞 青色LEDを開発
 
中村修二氏(左)、赤崎勇氏(中央)、天野浩氏(右)

 【ストックホルム共同】スウェーデンの王立科学アカデミーは7日、2014年のノーベル物理学賞を、省エネで長寿命の次世代照明やディスプレーに使われる青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大終身教授(85)と中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)、天野浩名古屋大教授(54)ら3人に授与すると発表した。2014107 1911分 東京新聞

2014年10月5日日曜日

宇宙から海底を探査

宇宙から海底を探査、重力観測衛星
 102日の発表によると、海底で新たに数千カ所の山や古代の地溝が発見された。深海の堆積物の下に隠れていた地形が、衛星画像から明らかになったという。
 今年3月にインド洋で消息を絶ったマレーシア航空MH370便は、未だに手掛かりが掴めずに捜索が続いている。 難航を極めている主な理由は、世界の深海の大部分で詳しい地図が作成されていないからだ。今回の新しい衛星 画像は、初めて5キロ四方という詳細な解像度で海底地形をマッピングしている。

 観測の対象は、メキシコ湾、南シナ海、南大西洋など、世界の海の大部分をカバーする大規模なミッションだ った。

 研究責任者でカリフォルニア州ラホヤにあるスクリップス海洋研究所のデイビッド・サンドウェル(David Sandwell)氏は、「海底地形を素早く包括的に調べるには、宇宙から観測するしかない。船でこのような地図を 作成する場合、現在のペースなら、あと200年はかかるだろう」と話す。
 研究チームは、欧州宇宙機関(ESA)の「クライオサット-2」とNASAの「ジェイソン1Jason-1)」を利用して 隠れた地形を発見。どちらも海面の変動を追跡する海洋観測衛星だ。

◆重力観測で海底をマッピング
 衛星にはレーダー高度計が搭載されており、海洋表面のさざ波やへこみを検出できる。例えば巨大な海嶺や海 山の重力の影響で、その上の海面は10センチほど低下する。

 逆に海底に割れ目や地溝が存在すると、重力が減少し海面が上昇する。
 このような海面の偏差のパターンをつなぎ合わせると、海底を覆う砂や堆積物の軟層の下に隠れていた地形が 浮かび上がるという。例えば、次のような地形だ。

・高さ10002000メートルの新たな海山、数千カ所。
・南アメリカとアフリカから南方向の角度に突き出している複数の海嶺(後者は全長800キロ、幅100キロもあ る)。かつて両者はつながっていたが、8300万年以上前に南大西洋の拡大によって分断した。
・以前、メキシコ湾の下に伸びていた海嶺。海洋地殻が変動していた時期に拡大、形成された。

 台湾の国立交通大学のチェインウェイ・ホワン(Cheinway Hwang)氏と国立台湾大学のエミー・チャン(Emmy Chang)氏は、海洋専門家の立場から今回の研究について、「この地図は宇宙ベースの海上重力観測におけるブレ ークスルーだ」と高く評価している。

◆海底地図の未来を担う
 研究チームによると、世界の海域の約80%は、船からの水深測量によるマッピングが実施されていない。「今 回明らかになった海底地形や水深は、空白地域を埋める出発点になる」とサンドウェル氏は話す。

 得られた成果は、海底の鉱物資源探査や、深海流の流れの解明に大きく役立つはずだ。
 クライオサット-2は今後数年間、高度400キロの軌道から海面観測を続ける予定だ。データが蓄積されれば重力 観測マップの精度が向上し、海底に点在する高さ1000メートル以下の未知の海山が、数十万単位で見つかる可能 性がある。


 しかし、「行方不明の航空機の発見には結び付かないだろう。もちろん、墜落当時は私たちも調べたのだが」 とサンドウェル氏は言う。しかし、重力マップの解像度を考えると、「将来的には、探索用の地図として大いに 役立つようになるはずだ」と期待を寄せている。  今回の研究結果は、103日発行の「Science」誌に発表された。 Dan Vergano,  National Geographic News October 3, 2014

ゴンドワナの名残か、インド洋で発見

ゴンドワナの名残か、インド洋で発見
 恐竜時代に存在した古い大陸の一部とみられる巨大な岩盤が、インド洋の深海で見つかった。
2つの岩盤は、微小大陸と呼ばれ、ゴンドワナ大陸の名残である可能性を持つ。ゴンドワナ大陸は当時、現在のインド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸を含む超大陸であったと考えられている。
 今回見つかった岩盤は、2つ合わせて約6万平方キロ、地図の専門家には以前からそれぞれバタビア海山とグーデン・ドラーク(Gulden Draak、「黄金の竜」の意)という名で知られていた。
 しかしこれらの海底地形については、オーストラリアの街、パースの約1600キロ南という位置以外の情報はほとんど知られていなかった。

◆深海で見つかった意外な大陸の名残
 この情報の空白を補うべく、最近になって世界各国から集まった科学者チームがこの付近の海底地形を探査し、最深で深さ2500メートルの海から標本を採取した。
 そこから意外な事実が明らかになる。今回の探査で引き上げられた標本は、大多数の海底を構成する平均的な玄武岩ではなく、花崗岩、片麻岩、砂岩といった、通常は地上の大陸で見つかる種類の岩石だった。

 今回の調査チームに加わったオーストラリアのシドニー大学の海洋地球物理学者ジョアン・ウィテカー(Joanne Whittaker)氏によると、さらに一部の標本には化石が含まれていたという。
「この2つの海台が、インド亜大陸がオーストラリア大陸から離れていく時に残された、ゴンドワナ大陸の小さなかけらであることは明白だ」とウィテカー氏は断言する。

◆巨大大陸は起伏に富んでいた?
 調査にあたった科学者チームは当初、これらの海台の頂上部は平らだと推測していた。これは海面より高いところに長期間顔を出していた地形が、海食により平坦になった場合の特徴だ。
 しかし、地形の探査が進むにつれ、2つの海台の地形は起伏に富んでおり、海面から海底までの深さも浅いところで1000メートル、深いところでは2500メートルと、実に多様であることが明らかになってきた。また、海台の最も高い地点は、周囲の深海から約4600メートルも隆起していることもわかった。

 これらの巨大大陸の一部から見つかった化石は軟体類の一種である海生の二枚貝で、これらの生命体が地上ではなく、浅瀬に暮らしていたことを示唆している。
 また、これらの化石は、最も高い地点ではなく、海台の中でも比較的水深の深い場所で発見されており、高い箇所はかつて島だったとも考えられる。ウィテカー氏も「まだ判定は難しいが、これからその可能性を探るのは間違いない」と述べている。

 ウィテカー氏を含む調査チームはさらに今後、今回採取した岩石の標本を、最も近い陸地である西オーストラリア州の海岸の海底部分から採取した岩石と比較する予定だ。この調査は「(ゴンドワナ大陸の)かけらの正確な来歴を明らかにする」のに役立つとウィテカー氏はみている。
 ウィテカー氏はさらに、約13000年前、ゴンドワナ大陸が分裂しインド洋が形成された経緯について、詳細はほとんどわかっていないと付け加えた。

◆いまだ残るゴンドワナ大陸分裂の謎
 現在インド亜大陸を形成しているゴンドワナ大陸の一部は、アジア大陸と衝突してしまったため、この分裂の経緯には今後も永久にわからない部分が残るとみられる。
「インド亜大陸では、(ゴンドワナ大陸に)相当する岩石は、もはや判別がつかないまでに破壊され、ヒマラヤ山脈のどこかに押し込められているだろう」とウィテカー氏は推測する。

 今回調査の対象となった海台の上をかつて恐竜が徘徊していた可能性については、これらの地形が海面から顔を出していたことがあるのか、もし出していた場合はその時期はいつかという問題にかかっている。

「それはまだ誰にもわからない。(現時点では)あらゆる可能性がある」とウィテカー氏は述べている。 Richard A. Lovett , for National Geographic News, November 22, 2011

2014年10月1日水曜日

鳥類は8千万年かけ恐竜から徐々に進化

鳥類は8千万年かけ恐竜から徐々に進化
 
中国北東部で発掘された化石。羽毛恐竜の多様性と小ささが見て取れる。恐竜に見られる鳥類特有の特徴の多 くは、鳥類出現のはるか前に進化した。

 約15000万年前に飛べるようになった鳥類は、何千万年という年月をかけて徐々に恐竜から進化したことが、古生物学者たちの研究によって明らかとなった。

鳥類は8千万年かけ恐竜から徐々に進化
 鳥類には羽毛や含気骨、叉骨(さこつ)、嘴(くちばし)など、特有の特徴が数多く見られる。古生物学者た ちはかつて、15000万年前に生息していた最古の鳥類である始祖鳥が、恐竜からの飛躍的な進化によって現れた ものと考えていた。だが、過去20年間の新たな発見により、鳥類特有の特徴は、最古の鳥が登場するはるか前に 恐竜で進化していたことが明らかとなっている。

 今回の研究成果は、「Current Biology」誌オンライン版に925日付けで発表されている。鳥類の祖先である 恐竜が鳥類特有の特徴を徐々に進化させ始めたのは、約23000万年前に地球上に登場した直後であるとし、新し い見方を裏付ける内容だ。

 また、論文はアメリカ自然史博物館の古生物学者ジョージ・ゲイロード・シンプソンが1944年に提唱した説を 支持するものでもある。シンプソン氏は当時、進化的新奇性(この場合は飛行能力を指す)が、新たな環境的ニ ッチを利用する種において急速な多様化を引き起こす可能性を指摘していた。
Current Biology」誌に掲載された論文によると、約8000万年にわたる段階的な進化の結果、始祖鳥の出現後に 鳥類が急激に多様性を見せ始めたという。スコットランドにあるエジンバラ大学の古生物学者で筆頭著者のステ ィーブン・ブルサット(Stephen Brusatte)氏は、「基本構造がようやくまとまると、何かが解き放たれたかの ように鳥類は急速に進化を始めた」と述べた。

 また、イギリスにあるオックスフォード大学の古生物学者ロジャー・ベンソン(Roger Benson)氏も、「科学 的に見れば、恐竜からいきなり鳥が現れることの方が考えにくい」と主張する。

◆小型化との関連
 アデレードにある南オーストラリア博物館のマイケル・リー(Michael Lee)氏率いる研究チームは今年8月、 鳥類の祖先が5000万年かけて体重約160キロから始祖鳥の重さに相当する0.8キロまで小型化したとの研究結果を 「Science」誌に発表している。
 今回の研究では、小型化の進行に伴い、現在の鳥類に特有の特徴が徐々に発達したとしている。始祖鳥は滑空 することしかできなかったと考えられているが、その登場からわずか数百万年間で鳥の種類は以前よりはるかに 急速に拡大し、新種には飛行能力を獲得した鳥も含まれていたという。

「鳥は時間をかけて“鳥らしく”なっていった。恐竜から鳥が急に現れたわけではなく、途切れることなく変化 しただけだ」とブルサット氏。
 また、約6600万年前にほかの恐竜が絶滅した際に鳥が生き延びることができたのは、飛行能力のおかげかもし れないとブルサット氏は言う。「飛ぶことのできる小さな恐竜は、ほかの恐竜よりもかなり有利だったはず だ」。 Dan Vergano, National Geographic News September 29, 2014