2018年8月23日木曜日

月面の氷を初観測

NASA、月面の氷を初観測 有人探査に勢いも
*月の南極(左)と北極に確認された氷の位置(青色部)(NASA提供)
 米航空宇宙局(NASA)は22日までに、月の南極と北極に氷があるのを観測したと発表した。これまでも、月表面に水が氷の状態で存在する可能性は指摘されていたが、直接確認することができたのは初めて。

 月の氷は月面基地で用いる水だけでなく、ロケットの水素燃料などの原料となる可能性もある。米国が中心となって進める新たな有人月面探査に勢いがつきそうだ。
 NASAや米ハワイ大などのチームは今回、インドが2008年に打ち上げた月探査機「チャンドラヤーン1号」で観測した月表面のデータを分析。氷は南極付近のクレーターに集中し、北極付近では広い範囲にまばらに散らばっていた。(共同)2018822 2257分 東京

2018年8月18日土曜日

密林に浮かび上がるマヤ文明の遺跡


密林に浮かび上がるマヤ文明の遺跡 レーザー技術で発見
*レーザー技術を使った探索により、密林の中にある遺跡の様子が明らかになった
グアテマラ北部のジャングルの下に隠れていた6万以上の古代マヤ文明の建造物が新しいレーザー技術によって発見された。
隠れていた数十の都市で発見されたのは、民家、宮殿、高さ約27メートルのピラミッドなどだ。このピラミッドは以前は単なる丘と考えられていた。

上空からジャングルの密林の中を見通せる特殊なレーザーを搭載した飛行機が可能にしたこの画期的な調査が示唆しているのは、マヤの都市が従来考えられていたよりもはるかに巨大かつ複雑ということだ。
農業、かんがい、採石場、防御設備の跡が広範囲で確認された。また大規模な道路網は、コミュニティー同士がこれまで知られていた以上に密接につながっていたことを示している。

従来の考えを覆す発見
米誌「ナショナル・ジオグラフィック」が最初に報じたこの大発見は、メソアメリカ文明の営みに関するわれわれの理解を根本から変える可能性があると語るのはこの調査の共同ディレクターの1人、米テュレーン大学のマルチェロ・カヌート氏だ。
カヌート氏は「あらゆる物が予想よりも多く存在し、規模もはるかに大きいことが明らかになっている」とし、さらに「どの地域でも、予想を上回る数の建造物、建物、用水路、段々畑が発見された」と付け加えた。

研究者らは、この広さ2100平方キロの広大な遺跡のデータを分析し、その地域の推定人口も修正した。
 ジャングルの中に隠れていた古代マヤ文明の建造物が発見された
 
*レーザー技術でマヤ文明を「発見」
現在、研究者らは、かつてマヤ低地(現在のグアテマラとメキシコにまたがる地域)には、以前の調査で示された数の「数倍」の1000万人が住んでいたと見ている。
マヤの考古学を30年以上研究してきたカヌート氏によると、「熱帯地方は文明の存続に適さず、(熱帯気候は)複雑な社会の維持に寄与しないというのが過去100年間の一般的な考え方だった」という。
「マヤの社会は人口が少なく、インフラは皆無で、各都市国家は小規模で独立しており、都市国家間の交流はほとんどなかったというのが従来の仮説だった」

「しかし、この仮説が誤りだということが明らかになりつつある。今回の調査で、この地域に多くの人々が住んでいただけでなく、彼らは地形の生産性を向上させるためにさまざまな方法で地形に修正を加えたことが分かる。今発見されつつある多くの防御構造も、かつてこの地域に多くの人と資源が存在し、それらが多くの競争を生んだ可能性があることを示唆している」(カヌート氏)

「画期的な」空中マッピング
中米のジャングルは非常に密生しているため、現地の史跡の大規模な調査は輸送面で困難なことが多かった。しかし、「光検出と測距」(LIDAR)と呼ばれる新技術により、考古学者らは上空から密林の中まで見通せるようになった。
空中写真図化(マッピング)は、底面にセンサーを装着した飛行機を使って実施される。この装置は、自動運転車に使用されているのと同じ技術を使い、パルス状のレーザー光を発射し、その光が戻ってくるまでの時間を測定することにより景観のマッピングを行う。


*レーザーマッピング技術が発見を可能にした
その結果得られたデータから、地表の等高線が表示され、研究者らはその等高線から林冠の下の人工建造物を発見する。
考古学者らはこの方法で極めて詳細かつ前例のない規模の調査が可能になる、とカヌート氏は言う。「これは熱帯地方における考古学者らの調査方法を根本から変える技術だ」と指摘。「太陽や星を肉眼で観察していた時に望遠鏡が発明されたようなもの」と付け加えた2018.08.18 Sat posted at 19:00 JST

2018年8月16日木曜日

宇宙で生まれた「未知の鉱物」


宇宙で生まれた「未知の鉱物」がロシアの隕石から発見
ロシアの科学者らが、宇宙に由来する新たな鉱物を発見した。鉱物が見つかったのはロシアの東部のUakit(ウアキット)という都市で発見された隕石の内部だ。この鉱物は「Uakitite(ウアキタイト)」と名づけられ、人類がこれまで地球上や宇宙で確認した、4000種類以上の鉱物のリストに新たに加わった。は全く未知の鉱物で、宇宙空間の非常な高温下で生まれたものと推定される。

Uakitで隕石が見つかったのは2016年のことで、当初の分析では鉄とニッケルの合金であるKamacite(カマサイト)が主成分であるとみられていた。しかし、その後の調査で未知の鉱物が含まれていることが分かり、モスクワで年に1度開催される鉱物学会で発表された。
隕石の98%はKamaciteで出来ていたが、電子顕微鏡でスキャンした結果、微量のUakititeが含まれていることが判明した。Uakitite1000度以上の高温下で、鉄分を大量に含む金属から、鉄分とクロミウムを大量に含む硫化物液体が分離する過程で生まれたものとみられている。

今回発見されたUakititeはごく微量で直径は5マイクロメートル。人間の髪の毛の3分の1以下の薄さだ。あまりにも小さな物質であるため、地質学者らはこの鉱物の性質を完全には特定できていない。
一部のニュースサイトはUakititeがダイヤモンドよりも硬いという情報を掲載したが、研究チームはこれを否定している。鉱物の硬さの尺度であるモース硬度において、Uakitite910と判定されている。それに対し、ダイヤモンドのモース硬度は10で、地球上で最も硬い鉱物として知られている。2018/08/12 13:00 Forebes

「人工のエラ」


将来の海面上昇に備え?、手軽に装着できる「人工のエラ」登場

大がかりな装備の助けを借りなくても、水中で魚のように呼吸できる日が来るかもしれない――デザイナーの亀井潤氏が手がける「AMPHIBIO」は、特殊な形状をしたベストとマスクをアクセサリーのように手軽に装着するだけで水中での呼吸を可能にする。まさに「人工のエラ」だ。
亀井氏は英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)と東京大学生産技術研究所が共同で設立したデザインプロジェクトと協力し、「AMPHIBIO」を開発した。ベスト部分とマスク部分からなる「AMPHIBIO」の素材は軽量で、撥水(はっすい)性が極めて高い。加工には3Dプリンターの技術を活用した。
*ベストとマスクからなる「人工のエラ」の試作モデル Credit: Photography by Mikito Tateisi

エラの役割を果たす仕組みは、水生昆虫の持つ特徴がヒントになった。素材の表面に空いた多数の細かい穴を通じて周囲の水から酸素を取り込み、二酸化炭素を放出する。
デザインを思い立ったきっかけは、環境問題への関心だった。地球温暖化に伴い海面が上昇し、大都市が水没する未来に着想を得たという。
現時点で「AMPHIBIO」はまだ試作段階にあり、表面積や気体の入れ替えの速度を人間が使用できる水準まで引き上げる必要があると亀井氏は話す。

将来的には、水没した大都市で生き残るためだけでなく、気軽に潜水を楽しむ目的でも使用してもらいたい考えだ。2018.08.15 Wed posted at 19:25 JST