これなしでは生きられない、絶品日本食25選
和牛。和牛は均一に満遍なく広がる霜降りが有名だ
これなしでは生きられない日本食
(CNN) 日本の技術はよく「ガラパゴス化」していると言われる。日本の文化的な孤立が世界に類を見ない革新的技術を生み出してきたためだ。
そして、日本の食べ物についても同じことが言える。
その独特の伝統、国民的な料理への執着、ほとんど宗教ともいえる新鮮さや完璧な製品へのこだわりのおかげで、日本は今や「食のワンダーランド」といえる。
今回は、いくら食べても飽きない日本の宝ともいえる日本食25品を紹介する。
とんかつ
豚肉にパン粉をまぶし、表面がキツネ色に変わり、サクサクとした歯応えになるまで油でじっくりと揚げ、最後に甘辛いソースをかける。このとんかつこそ、豚肉料理の最高峰と言えるだろう。
老舗とんかつ店「とんき」は、予約は受け付けない。そのため店の前には長い行列ができるが、山盛りの千切りキャベツとともに出されるジューシーなひれかつは、十分待つだけの価値はある。
「とんかつ まい泉」も「とんき」と甲乙付けがたい名店だ。
すし
すしは、日本が世界に送った「最も美味な贈り物」の1つであることは疑う余地がない。
その詩的ともいえるシンプルさゆえ、すしの味は食材の鮮度と板前の包丁さばきの2つで決まる。
すし種を1口ほどの大きさの酢飯にのせて握った握りずし、焼きのりで巻いた巻きずし、長方形の型に入れて押した押しずしなど、おいしいすしはどの価格帯でも見つかるが、六本木の「すし匠
まさ」のすしは、まさに究極のすしといえる。
出されるすしはどれも優美でしゃれており、各すしの食べ方も指南してくれる。客単価は約2万円と値は張るが、究極の寿司を食べるにはそれなりの出費が必要だ。
ちらし丼
ちらし丼は、新鮮な生魚のシンプルな上品さと、気軽で型にはまらない丼の特性を組み合わせた丼物の定番だ。
築地の「魚河岸千両」の自慢の一品である「海鮮ひつまぶし」は、ご飯の上に細かく切った魚介をのせ、その上にクリーミーなウニとルビー色のいくらをのせたちらし丼の一種だ。
しかし、この料理には儀式にも似た決まった食べ方がある。
まず、魚とご飯をわさび醤油と混ぜ海鮮丼として食べ、その後に漬け物と混ぜる。そして混ぜ合わせた物の大半を食べ終えたところで、だし汁をかけ、スープとして食べる。
てんぷら
てんぷらは世界で最も人気の高い日本食の1つだが、皮肉にも、てんぷら発祥の地は日本ではなくポルトガルだ。
16世紀半ばにポルトガルの宣教師や商人たちが長崎に到着した際、日本に脂っこい食べ物への嗜好(しこう)と油で揚げる料理法をもたらした。日本ではキリスト教はあまり普及していないようだが、てんぷらは瞬く間に大人気となった。
銀座の「てんぷら 近藤」の天ぷらは芸術に近い。柔らかいアスパラガス、上品な歯応えのキス、まだ真ん中がピンク色の肉付きの良いホタテなど、どれも絶品だ。
ラーメン
アジアでは、めん類の中で書籍、ブログ、映画で最も多くとりあげられるのがラーメンだ。
ラーメンの脂と塩の絶妙なコンビネーションが、脳のエンドルフィンを分泌する部分に直接強力なメッセージを送っているのは間違いない。
おすすめのラーメン屋を1つだけ挙げるのは非常に難しいが、吉祥寺にある「つけ麺 えん寺」では魚介と豚骨ベースの濃厚なつけ汁につけて食べるつけめんが食べられる。
和牛
豪華な霜降り和牛の最初の一口はまさに格別だ。
まるでバターのような、とろけるような柔らかさとうっとりするような味わいが特徴で、一度和牛を口にしたら、他のステーキは脂身が少なすぎて明らかに見劣りする。
まず霜降り肉の筋状の脂身に驚くかもしれないが、和牛は普通の牛肉に比べ、オメガ3およびオメガ6系脂肪酸をより多く含んでおり、これらの物質が心臓病のリスク軽減を助けてくれる。少なくとも、われわれはそう自分に言い聞かせている。
恵比寿にあるハンバーガー専門店「Blacows(ブラッカウズ)」では、ジューシーな黒毛和牛100%のハンバーガーが食べられる。
手打ちそば
一般に売られているそばは、大量生産されたもので、決して悪くはないが、記憶には残らない。
しかし、一度手打ちそばを口にすれば、なぜそば職人が完璧なそば作りに誇りを持っているかが容易に理解できる。
手打ちそばは冷たいざるそばでも、温かいだし汁に入れたものでも、そのやや木の実に似た風味と歯応えのある食感が病み付きになる。
麻布十番にある「松玄」は、丹念に調理された伝統的な手打ちそばをスタイリッシュかつモダンな食器に盛り付けてくれる。ぶっかけそばは、そばの周りに十数種類の薬味を添えて供される一品。
讃岐うどん
讃岐うどんブームは、多くの革命と同様に1冊の本の出版が引き金となった。
四国の特産である讃岐うどんは、長年、関西のうどん通の舌をうならせてきたが、田尾和俊氏の著書「恐るべきさぬきうどん(全5巻)」が出版されると讃岐うどんブームに火が付き、その人気は山火事のような速度で日本中に広がった。
讃岐うどんの最大の特徴は、こしが強く、それでいて絹のように滑らかな食感だ。ツルっとして、ズルズルと音を立てて食べることができ、非常に満足度が高く、硬めにゆでたパスタの歯応えと、餅のようなモチモチ感が同時に味わえる。
「讃岐うどん大使 東京麺通団」では、うどん職人たちが生地をのばして、切って、大釜でゆでる様子を見学できる。だし汁をかけた釜卵うどんに天ぷらかおでんを付けてもリーズナブルな値段で食べられる。
日本版カレーライス
インド人のシェフらは、カレーにリンゴと蜂蜜を入れると聞いたら即座に異議を唱えるだろう。
しかし、日本のカレーは長年、本場インドのカレーとは別の道をたどり、独自の料理としての地位を確立した。
通常はカレーをご飯の上にかけるか銀色の器に入れ、付け合わせに酸っぱくて歯応えのあるらっきょうの漬け物をご飯のわきに添える。
学校に通う子どもやサラリーマンからも愛されているカレーライスは、甘さと、控えめなスパイスと、心がなごむとろりとした口当たりで、今や日本で最も人気の高い料理の1つとなった。
神保町の「まんてん」は、カレーライスに目がない人たちの間で大人気だ。
ギョーザ
ギョーザは厳密には中華料理だが、東京の食生活に欠かせない大事な食べ物だ。
一口サイズでコクのあるギョーザは、通常、中に豚肉、キャベツ、ニラを混ぜた具が入っており、しょうゆと酢をブレンドしたたれを付けて食べる。
ほとんどの日本食は量が少なめなので、食べるのを止めるタイミングが分かりやすいが、ギョーザは次々と注文してしまい、つい腹がはち切れそうになるまで食べてしまう。
ギョーザの本場は栃木県の宇都宮だが、東京で味わうなら「原宿餃子楼」と三軒茶屋にある「東京餃子楼」だ。にんにくのあり、なしが選べる点が優れていて、東京でそのような店はめずらしい。
焼き芋
冬になると、東京の道は焼き芋の懐かしくて香ばしい香りで満たされ、石焼き芋屋のトラックのスピーカーから流れる哀愁を感じる声が街のあちこちで聞かれる。
焼き芋は普通、晩春になくなるが、油で揚げたサツマイモを糖蜜で覆った「大学芋」という興味深いネーミングの食べ物が、街の食料品店や、高島屋などのデパートの地下の食料品売り場(デパ地下)などで、一年中売られている。
たこ焼き
「たこ焼き」という名称は、この大阪発祥のおいしい食べ物の魅力を十分に表現しているとはいえない。
たこ焼きは外はサクサクで、たこ、紅しょうが、ネギが入った中心部はモチモチしている。ピンポン玉ほどの大きさのたこ焼きを2、3個食べるだけで一食分の満足感が得られる。
甘いソースを塗り、その上に青のりをふりかけて食べるたこ焼きは、祭りで売られる定番の食べ物で、夕方のおやつとしても人気だ。
たこ焼きが日本で最初に普及した大阪には「大阪たこ焼きミュージアム」がある。ここでは、「甲賀流」や「会津屋」といった大阪で人気のあるたこ焼き屋5店のたこ焼きの食べ比べができる。
おにぎり
おいしくて、食べ応えがあり、ドトールの1杯のコーヒーよりも安いおにぎりは、究極のファストフードだ。日本ではどこのコンビニでもおにぎりを売っているので、いつでも手の届く軽食となっている。
おにぎりの中には、タラコや葉野菜の漬け物から、マヨネーズを添えた牛焼肉まで、さまざまな具材が入っている。またデパ地下では、春の新鮮なタケノコや、秋のマツタケなど、旬の食材が入ったおにぎりも味わえる。
おにぎりはどこでも買えるが、われわれが特に好きなのは100%国産米を使用したおにぎりだ。
納豆
納豆は日本食の中でもはっきりと好き嫌いが分かれる食べ物だ。
大豆を発酵させて作る納豆は、ブルーチーズやドリアンのように、強烈な匂いと独特の味わいが特徴で、それが大好きな人もいれば大嫌いな人もいる。
アンチ納豆派は、嫌いな理由として鼻をつく匂いとネバネバした食感を挙げるが、納豆ファンにはその豊富なうま味と栄養価の高さが魅力だ。
納豆のおいしい食べ方としては、生のマグロやキムチといっしょに和えたり、餃子に入れる豚肉に混ぜてもおいしい。
それでも納豆を食べることに二の足を踏んでいる人のために、山梨県にある「納豆工房せんだい屋」は納豆が入ったおいしい焼きドーナツを開発した。
焼き鳥
冷えたビールといっしょに食べる焼き鳥は、外での軽い食事や夏の間食に最適だ。
焼き鳥は鶏のもも肉の串焼きを指すことが多いが、わさびを塗って軽くあぶった胸肉や、レバー、ハツ、ぼんじり、砂肝、かわなどの串焼きもある。
大半の焼き鳥屋は、鶏肉にしょうゆ、日本酒、みりんで作った濃厚で甘いソースをたっぷり塗るが、通は肉に塩を少々振りかけただけのものを好む。
中目黒や銀座に店舗のある焼き鳥専門店「鳥よし」で、すずめ、うずら、ちょうちんなど希少で高価な焼き鳥をじっくり味わってほしい。
お好み焼き
この油っこくて、おいしい「和風パンケーキ」は、豚バラ薄切り肉、タコ、エビ、チーズなど、さまざまな種類の食材を好きなだけ入れて、その名の通り「お好み」で自由に作ることができる。
お好み焼きは通常、自分のテーブルの鉄板焼き器の上で作る。店によっては自分で作ることもできるが、そこはプロに任せるのが正解だ。
もんじゃ焼きは、お好み焼きと似ているが、お好み焼きに比べ水分が多く、ドロドロしている。
お好み焼きを食べるなら大阪が一番だ。大阪には専門店が数多くある。大阪・道頓堀にあるお好み焼き専門店「美津の」は、三代続く老舗だ。
また東京の月島にある「おしお」は、もんじゃ焼きを初めて食べる人におすすめだ。
みそ
日本料理にみそは欠かせない。
みそは大豆を発酵させて作るペースト状の食品だ。多くのスープやソースのベースになっており、日本の各地域に独自の調理法が存在する。
東京・亀戸のみそ専門店「佐野みそ」では、甘く、滑らかな舌触りの西京みそから、色の濃い八丁みそまで、さまざまな種類のみそを試食できる。
タコライス
沖縄発祥のタコライスは、白いご飯の上にひき肉、チーズ、レタス、トマトをのせ、その上にトマトベースのサルサ(ソース)をかけた料理だ。
タコスの皮のパリパリとした食感はないが、タコスの味が日本米と見事に調和し、夏の暑い時期に最適な料理が誕生した。
1956年創業の「チャーリー多幸寿」は長年、沖縄に駐留するアメリカ人に人気の店だ。同店は、沖縄で最初のタコス専門店と言われている。
鍋
鍋は、日本の大勢で食べる食事を具現化した料理といえる。
その鍋料理の中で最も人気の高いのがおでんだ。おでんは冬の間、コンビニでも売られている。
沸騰するおでん鍋の中に入っているのは、さまざまな魚肉練り製品や豆腐を揚げた食品、中に具が詰まった食品など、粘り気、弾力性、歯応えがある食品が多い。他にも厚切り大根、こんにゃく、固ゆで卵、牛すじや、ウインナーソーセージまで入っており、すべての具材においしい昆布ベースのだし汁が染み込むまでじっくり煮込む。
東京・墨田区にある「割烹 吉葉」では、魚、肉、野菜を一緒に煮込み、最後はうどんや卵で締める高カロリーの鍋料理、ちゃんこ鍋が味わえる。
卵焼き/だし巻き卵
日本では、卵は、丼物の上にのっている半熟のスクランブルエッグやオムライス、さらにマグロユッケなどに入っている生卵など、さまざまな使われ方をする。
しかし、最も愛されている卵料理は、溶き卵に少量のだし汁を加えて作るシンプルな卵焼きだろう。
日本の弁当や、全国のコンビニで売られている手ごろな寿司には冷めた硬い卵焼きが入っているが、一流料亭の出来立てのだし巻き卵は絶品だ。絹のような滑らかさと枕のような柔らかさ、そしておいしいだしから来る深い味わいが楽しめる。
恵比寿の「うどん山長」ではそんなだし巻き卵が楽しめる。同じだし汁を使ったうどん料理もおすすめだ。
たい焼き
日本は、見た目が美しい菓子やケーキで有名だが、不思議なことに、最も有名な日本の伝統的なおやつの一つは鯛の形をしている。
たい焼きは、中にあんこ、チョコレート、クリームが入ったワッフルのような焼き菓子で、たまにチーズが入っているものもある。
100年前、本物の鯛が買えない庶民にたい焼きが紹介され、この形が定着した。
池袋西武百貨店の地下にあるたい焼き屋「味咲き」には、朝から晩まで客の長い行列ができる。
なぎの蒲焼き
うなぎの蒲焼きは、骨を取り除き、串に刺したうなぎに濃厚なしょうゆベースの甘だれをつけて焼いた料理だ。
夏に人気が出るのは滋養強壮効果のおかげとされている。我々はそれを確認できていないが、蒲焼きの強烈な香ばしさと甘さがたまらないのは間違いない。
南千住で最も古いうなぎ店の1つ「尾花」は、うなぎ通に人気だ。
お茶漬け
お茶漬けは、高級日本料理の対極に位置する非常にシンプルな食べ物だ。
作り方は、椀に白いご飯とお茶を入れ、昆布のだし汁と混ぜるだけ。普通はサケのフレーク、のり、梅干しなどをのせて食べる。気分が悪い時、二日酔いの時、気持ちが落ち込んでいる時にはお茶漬けが無性に食べたくなる。
新宿の「お茶漬けBar ZUZU」では、ヘルシーな玄米に漬けマグロなどをトッピングしたスタイリッシュなお茶漬けが味わえる。
抹茶サンデー
誰もが毎日、高級懐石料理を食べたり、正式な茶道を楽しむといったぜいたくができるわけではない。だからこそ、抹茶サンデーはありがたい存在だ。
抹茶サンデーは通常、たっぷりのあんこ、白玉、焼き米菓などが入っていて、上に抹茶アイスクリームがのっている。
京都・宇治の抹茶は極めて質が高いことから、今や宇治は抹茶の代名詞になっており、「辻利兵衛本店」や「中村藤吉」など、宇治の有名茶店は日本だけでなく世界中に支店を出している。
牛タン
焼肉で最高の部位を1つ挙げるとすれば、それは牛の舌部を薄切りにして焼いた牛タンだ。
牛タンは、牛肉の強い香りに加え、焼いた時に出る香りのいいバターのような脂と、ややかみごたえのある食感が特徴だ。
仙台は牛タンの本場であり、発祥の地とも言われる。
1930年代に、当時見習いシェフだった佐野啓四郎氏が、師事していたフランス人シェフが作ったタンシチューから着想を得て、日本人の好みに合うタンの調理法を模索した。その後、佐野氏は仙台に戻り、牛タン焼き専門店「味太助」を開業した。2016.12.30 Fri posted at 12:00 JST