2016年3月31日木曜日

イモリ、四肢再生の仕組み判明

イモリ、250年の謎解けた 四肢再生の仕組み判明
*卓越した再生能力をもつイモリ=千葉親文さん提供
 両生類のなかでもイモリだけがなぜ、オトナになっても四肢の再生能力を持つのか――生物学上の250年来の謎がとけた、と筑波大などのチームが発表した。幼生期の再生能力は成体になるときに失われるが、別の新たな再生メカニズムを獲得することがわかったという。
 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに30日、論文が掲載された。

 両生類は一般に、幼生期には脚を再生する能力を持つが、変態して成体になると、その能力が低下するか全く失われてしまう。しかしイモリだけは、成体になってからも繰り返し完全に再生することができる。この現象が発見されたのは18世紀中ごろで、仕組みは未解明のままだった。

 筑波大の千葉親文(ちかふみ)准教授(再生生理学)らは、遺伝子改変技術でイモリの筋肉の細胞に目印をつけ、再生する過程を調べた。その結果、幼生は筋肉の元となる幹細胞が活発に働くことで再生するのに対し、成体では幹細胞は働かず、切断面の筋細胞が成熟しきっていない状態に戻る「脱分化」という変化が起きていた。これを材料に新たな組織が作られ、再生していた。

 千葉さんは「成熟した細胞を再生のために動員する仕組みは、成長に伴って幹細胞が減少し、働きが低下したときに有利だと考えられる」と話す。メカニズムの詳細を解明できれば、老化の抑制や自己再生医療などの手がかりとなる可能性もある、としている。(吉田晋)20163311039分 朝日

「シベリアのユニコーン」

「シベリアのユニコーン」、化石発見 2万9000年前に生存
*「シベリアのユニコーン」の異名をとるエラスモテリウム・シビリカム=Wikimedia Commons
(CNN) 35万年前に絶滅したとみられていた大型の動物、通称「シベリアの一角獣(ユニコーン)」が実は2万9000年前まで生息していたことが、ロシアの科学者チームによる研究でこのほど明らかになった。
動物の学名は「エラスモテリウム・シビリカム」。伝説の一角獣と同様、大きな1本の角が特徴だ。ただ馬のようにすらりとした一角獣と違い、ずんぐりとした毛深い姿はサイに近かったと考えられる。
2万9000年前まで生き延びていたという説は、ロシア・トムスク州立大学の科学者、アンドレイ・シュパンスキー氏らが米応用科学誌AJAPの今月号に発表した。
カザフスタンで保存状態の良い頭蓋骨(ずがいこつ)の化石が見つかり、同地域に移り住んだ個体は従来の説よりはるかに長く生存していたことが判明したという。

同氏らのチームはこの発見を基に、エラスモテリウム・シビリカムが絶滅した環境上の要因や、生息地が及ぼした影響について研究を進める構え。さらに地球の気候変動にともなう将来の変化を予測するうえでも、研究を役立てることができるだろうと話している。2016.03.30 Wed posted at 10:48 JST

2016年3月25日金曜日

自然界に存在しない細菌を作製

自然界に存在しない細菌の作製に成功…米チーム
 【ワシントン=三井誠】生命の設計図とされるゲノム(全遺伝情報)を人工的にデザインし、自然界に存在しない細菌を作ることに成功したと、米国のJ・クレイグ・ベンター研究所などの研究チームが発表した。

 新たに誕生した細菌は、自然界のどの生物よりも遺伝子の数が少ないという。
 薬やバイオ燃料を合成する微生物の研究の進展が期待される一方、新しい細菌の作製は安全性や倫理面での議論も呼びそうだ。論文は、25日の米科学誌サイエンスに掲載される。

 研究チームは2010年、細菌「マイコプラズマ・ミコイデス」のゲノムを人工合成し、別の細菌に移植して自己増殖させることに成功した。今回は、この細菌の遺伝子901個から生存や増殖に必要な遺伝子を選び、473個まで減らした人工ゲノムを別の細菌に移植し、自己増殖させたという。自然界の生物が持つ遺伝子数は、525個の細菌が最少だった。20160325 0912分 読売

2016年3月24日木曜日

惑星が生まれる瞬間をとらえた

惑星が生まれる瞬間をとらえた、驚きの画像
450光年かなたの若い恒星「HL Tau」の周囲で発見
*若い星の周囲にできた塵の円盤の中央付近に、複数の惑星がある。形成のごく初期段階だ。
 はるか宇宙のかなたに浮かぶ、曼荼羅にも似た巨大な円盤の中央付近で今、惑星が生まれようとしている。いや正確には、成長途中と言ったほうがいいかもしれない。

 この惑星は生まれて間もない幼児であり、今はまだ単なる塵の塊にすぎない。地球の38倍の重力をもつこの原始惑星は、450光年かなたのおうし座にある若い恒星「HL Tau」の周りを回っている。「HL Tau」にごく近い場所に位置しており、一帯には複数の岩石惑星があると見られるが、この付近では通常、ぼんやりとした星の光以上のものを観察するのは非常に難しい。
 2014年、アルマ望遠鏡がこの円盤の撮影に成功した。円盤に走る複数の間隙は、惑星が形成される兆候と見られ、天文学者たちを大いに驚かせた。なぜならこの恒星は誕生から100万年ほどしかたっておらず、円盤に間隙を刻むほど大きく成長した惑星をもつには若すぎるからだ。

 そこで研究チームは、20142015年にかけて、超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)を使って周辺を数回にわたって観察し、アルマ望遠鏡とは違った手法で、塵に包まれた恒星の周辺の様子を確認した。小さな惑星を発見したのは、その最中のことだ。
 形成中の惑星をここまで詳細に観察できたのは初めてのことだが、成長段階にある惑星をとらえた事例は過去にもあった。たとえば昨年『ネイチャー』誌には、ある遠い恒星の周辺で惑星「LkCa 15 b」が形成されつつあるのが確認されたという論文が掲載されている。


 こうした若い惑星は、今はまだ塵が集まったいわば「胚」のようなものだが、数百万年後には、立派に成長を遂げた星となる。2016.03.24 ナショジオ

2016年3月23日水曜日

冥王星、自転軸の揺らぎで環境が激変

冥王星、自転軸の傾きと揺らぎで地表の環境が激変 観測結果
*冥王星の地表の画像= NASA/Johns Hopkins/SRI
(CNN) 準惑星の冥王星は、極端に大きな自転軸の傾きや傾斜角の変動によって液体窒素の川や湖ができ、大気圧は火星を大幅に上回ることもある――。米航空宇宙局(NASA)の探査機ニューホライズンズから送られてきた観測データから、そんな姿が明らかになった。米ヒューストンでこのほど開かれた月惑星科学学会で研究者が発表した。
地球に季節があるのは自転軸が23度傾いていることに起因する。冥王星の場合は120度の角度で大きく傾いており、この傾きは数百万年の間に約20度の幅で振幅する。このため冥王星の赤道周辺が「熱帯」という名称にそぐわない荒れた天候になる時期がある一方で、太陽が常に地平線より下にある北極地帯が赤道付近まで拡大する時期もある。
地表の平均気温はおよそ氷点下240度。激しい傾斜角の変動が大気圧を変化させて液体窒素が地表を流れるようになり、川の流れや凍った湖のような地形が形成されたという。
太陽から冥王星までの距離は、太陽から火星までの距離の20倍。それでも冥王星の大気圧は火星の40倍に達する時期があることも分かった。
NASAの研究者によると、冥王星の地表に液体の流れがあったのは、直近では80万年~90万年前だった。

ニューホライズンズは昨年夏に冥王星に最接近。これまでに届いた観測データから、複雑な地形や大気、衛星の姿が明らかになっている。2016.03.23 Wed posted at 15:41 JST

2016年3月21日月曜日

人類の祖先とネアンデルタール人

人類の祖先とネアンデルタール人、多くの子孫残していた
(CNN) ネアンデルタール人と人類の祖先の間には、これまで考えられていたよりも多くの子孫が誕生していたことが分かったとして、米ワシントン大学などの研究チームが科学誌サイエンスに研究結果を発表した。異種交流の痕跡はヒトゲノムに残され、免疫系や代謝系にも影響している可能性があるという。
研究チームは世界各国の1500人以上の遺伝子情報を分析し、人類の祖先がネアンデルタール人およびデニソワ人と交わった痕跡を調べた。

*人類の祖先とネアンデルタール人との間に多くの子孫が産まれていた?

その結果、アフリカを除くすべての地域で人の遺伝子からネアンデルタール人の痕跡が見つかり、アジア人や欧州人、パプアニューギニアに住むメラネシア人などはネアンデルタール人やデニソワ人の祖先を持つことが分かった。
デニソワ人はネアンデルタール人と関連があるものの遺伝子的には異なる。デニソワ人の化石は2008年にシベリアの洞窟から発見された。
しかし今回デニソワ人のDNAの痕跡が見つかったメラネシア人は、シベリアから遠く離れた太平洋の島々に住んでいる。東南アジアに住む人の一部からもデニソワ人の痕跡がわずかに検出されたことから、ワシントン大学の研究者は、メラネシア人の祖先が東南アジアのどこかでデニソワ人と交わったと推測する。
今回の研究は、5万年あまり前にアフリカを離れた人類の祖先が他のヒト族と交わっていたという説を裏付けるもの。遺伝子の解析から、その交わりが繰り返されていたことがうかがえるという。

「遺伝子の多くは免疫の形成とも関係しており、新しい環境に進出した人類を助けて新しい病原菌と戦う役割を果たしていたと思われる」と研究チームは解説している。2016.03.21 Mon posted at 12:52 JST

2016年3月20日日曜日

道路からエネルギー

道路からエネルギー、電池なしEV走行実験成功
*実験用の道路をスムーズに走った電気自動車
 豊橋技術科学大学(愛知県豊橋市)で、地中にレール状に埋めた2本の鉄板からエネルギーを受けて電気自動車を走らせる実験が18日、公開された。
 同大では「世界で初めての仕組み」とアピールしており、充電時間の節約や電池が不要になった分のスペースを車内空間の拡大に充てる利点もあり、将来の実用化が期待されている。
 研究しているのは、同大教授の大平孝・未来ビークルシティリサーチセンター長のグループ。18日の実験では、幅40センチの鉄板が埋められた長さ約30メートルの実験用道路を電気自動車が時速約10キロ・メートルでスムーズに走った。

 電池が不要となる仕組みは、道路の下に埋められた鉄板にプラスとマイナスの電圧をそれぞれかけると、車のタイヤ内にあるスチールベルトというタイヤの強度を高める部品に電圧が発生する。鉄板のプラスとマイナスを高速で入れ替えることで、タイヤの電圧も高速で入れ替わり、その際に発生する電流がエネルギーになりモーターを回転させて車を走らせる。

 市街地を走る時は車に積んだ電池でモーターを回し、高速道路や自動車専用道路では道路からエネルギーを受ける仕組みを導入すれば、長距離や高速用の重い電池が不要になるという。
 大平センター長は「実験は成功した。今後は走行性能を向上させて、2022年までに実用化を果たしたい」と話す。実用化技術の完成後に、国や高速道路会社などが道路の補修や新設を行う際に鉄板を埋めることでこの方式の普及が期待できるという。(藤川拓生)20160319 1355分 読売

2016年3月18日金曜日

謎の王妃埋葬か

ツタンカーメンの墓に9割の確率で隠し部屋、謎の王妃埋葬か
*謎に包まれた古代エジプトの女王、ネフェルティティの像
(CNN) 古代エジプトを支配した美貌(びぼう)の女王、ネフェルティティの運命は――。考古学者が長年の間探求してきたその謎が解明されるのではないかと期待が高まっている。
エジプトのダマティ考古相は17日、ツタンカーメン王の墓をレーダーでスキャンして調べた結果、壁の向こうに2つの隠し部屋があることが90%確実になったと発表した。
英考古学者ニコラス・リーブズ氏は昨年8月、このうちの1室にネフェルティティの墓があるという説を発表していた。一方、ダマティ考古相は、埋葬されているのはネフェルティティではなく別の王族の女性ではないかと推定する。
レーダーによる調査では金属製の物体と有機物が存在していることも分かった。今月中に再び調査を行って、部屋の大きさや壁の厚さを調べる計画。ただし部屋の存在を当局が確信するまでは、それ以上の発掘調査は行わない方針だという。
ネフェルティティは古代エジプト王アメンホテプ4世の妻で、王とともにエジプトを支配した。しかし12年間の統治の後は記録が途絶え、改名して摂政になったという説や、死亡したという説が伝えられていた。
ダマティ考古相は、「もしネフェルティティが見つかれば、ツタンカーメンの発見よりも重要性は大きい」と話している。2016.03.18 Fri posted at 10:27 JST

古代生物「タリー・モンスター」

古代生物「タリー・モンスター」、60年ぶりに正体判明
(CNN) 長く伸びた鼻や細長い棒状の目がユニークな古代生物「トゥリモンストゥルム」(タリー・モンスター)の正体が約60年ぶりに判明したとして、研究チームが科学誌ネイチャーの今週号に論文を発表した。
*タリー・モンスターの化石は1958年、米イリノイ州の鉱山の3億年前の地層の中から大量に見つかった。体長は最も大きいもので30センチほど。先端がはさみ状になった長い鼻と鋭い牙を持ち、目は頭部から左右に伸びた細長い柄の先に付いているというユニークな姿だったと見られている。
その特徴はこれまでに確認されたどの種類の生物にも分類できず、ミミズなど環形動物の一種ではないかとする説もあった。
研究チームは正体を探るため、約1200体の標本を分析。その結果、タリー・モンスターは原始的な脊髄を持っていたことが分かり、脊椎動物だったと断定した。現代のヤツメウナギに似た生物だった可能性が大きいと結論付けている。

鋭い歯が並ぶ口など一部の特徴はヤツメウナギに似ているものの、細長い柄の先に目が付いた姿などはタリー・モンスター特有だった。2016.03.18 Fri posted at 12:44 JST

2016年3月17日木曜日

記憶戻す実験成功

記憶戻す実験成功…アルツハイマー病のマウスで
 アルツハイマー病のマウスを使った実験で、思い出せなくなった記憶を引き出すことに成功したとの研究成果を、理化学研究所の利根川進・脳科学総合研究センター長らが、英科学誌ネイチャーで17日発表する。
 研究チームは「アルツハイマー病は、記憶が消えるのではなく、記憶を思い出す機能が働かなくなる病気であることを示唆する結果だ」と説明している。

 研究チームは正常なマウスとアルツハイマー病のマウスを飼育箱に入れ、それぞれ脚に弱い電流を流して、不快な体験として記憶させた。その後、箱から出し、24時間後、箱に戻した。

 正常なマウスは不快な体験を思い出しておびえたが、アルツハイマー病のマウスは変化を見せなかった。そこで、脚に電流が流れた時の記憶を担っているとみられた脳細胞を刺激すると、正常なマウスと同じようにおびえるようになった。20160317 0304分 読売

2016年3月13日日曜日

ブラックホールから噴き出すガス

ブラックホールから噴き出すガス「ほぼ光速」 日韓チーム観測、従来の見方覆す
 
*電波望遠鏡で観測したブラックホールから出るジェットの根元部分。左の明るい部分の中心にブラックホールがあるが見えない(国立天文台提供)
 電波望遠鏡で観測したブラックホールから出るジェットの根元部分。左の明るい部分の中心にブラックホールがあるが見えない(国立天文台提供)
 日本と韓国の共同研究チームは12日、太陽の60億倍の重さがある超巨大ブラックホールから、「ジェット」と呼ばれるガスが光速に近いスピードで激しく噴き出しているのを観測したと発表した。

 観測したのは地球から5440万光年離れたブラックホール。ジェットは、重力が強いブラックホールに落ち込まなかったガスが噴き出し形成される。調査の結果、噴出直後のジェットが広がる速度は光速の80%以上と判明した。
 これまではジェットはゆっくり噴出し、その後、光速近くにまで加速すると考えられていた。調査を行った国立天文台の秦和弘助教は「従来の見方を覆す発見だ。ジェット形成の仕組みに迫りたい」と話している。2016.3.13 01:52 日経

2016年3月5日土曜日

134億光年、最も遠い銀河発見

134億光年、最も遠い銀河発見…NASA
*ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた134億光年先の銀河(NASA提供)
 【ワシントン=三井誠】米航空宇宙局(NASA)は、観測史上、最も遠い銀河をハッブル宇宙望遠鏡で見つけたと発表した。
 地球からの距離は134億光年で、宇宙誕生の4億年後に生まれた銀河になる。
 発見した銀河は、北斗七星の方角にあり、地球が含まれる銀河系の1%の質量しかない。しかし、星が盛んに誕生しており、明るく輝いていた。


 遠く離れた銀河ほど光が届くまでに時間がかかるため、遠い銀河を見れば昔の宇宙の姿が分かる。新たに見つけた銀河は、これまでの記録より2億光年ほど遠く、宇宙初期に銀河がどうやってできたのか、より詳しく分かる可能性があるという。20160305 1115分 読売