2016年2月29日月曜日

30年の凍結後に復活 極地研、南極のクマムシで確認

30年の凍結後に復活 極地研、南極のクマムシで確認
*約30年凍結保存されていた卵から孵化したクマムシ(国立極地研究所提供)
 南極で採取し約30年にわたって凍結保存していた微小動物のクマムシを蘇生させ、産卵・繁殖させることに国立極地研究所のチームが成功した。クマムシは生命活動を停止して凍結や乾燥などの極限環境に耐え、生き延びることで知られるが、乾燥状態で最長9年だった従来の生存期間を大幅に上回る記録となった。

 クマムシは体長0・1~1ミリ程度の無脊椎動物。チームは南極の昭和基地周辺で1983年に採取し、氷点下20度で保存していたコケを2014年に解凍。水を加えると2匹が蘇生した。
 うち1匹はその後に死んだが、もう1匹は2週間後に餌を食べるなど通常の状態に回復し、産卵して繁殖。また、コケから取り出した卵を孵化(ふか)させた個体は活動に異常は見られず、産卵・繁殖した。


 生存や繁殖の能力が長期にわたり維持されたのは、凍結保存によって“老化”につながるDNAの損傷が抑えられたためとみられる。クマムシの蘇生後、回復や繁殖の状況まで詳細に報告したのは初めてで、チームの辻本恵特任研究員は「長期生存の仕組みの解明に貢献したい」と話している。(黒田悠希)2016.2.29 13:30 産経

重力波と同時刻に『ガンマ線バースト』現象

重力波と同時刻に『ガンマ線バースト』現象 
別チーム観測「ブラックホールの合体では生じないはず」
*重力波のデータから模擬計算した2つのブラックホール(中央)が合体する様子(想像図)=米LIGOチーム提供
 米国のチームが宇宙からの重力波を観測したのとほぼ同時刻に、爆発的にガンマ線が放出される「ガンマ線バースト」とみられる現象を天文衛星で観測したとの研究速報を、別の国際チームがまとめた。

 重力波は、2つのブラックホールが合体したときに放たれたとされる。天文衛星「フェルミ」で観測したチームは、その際に出たガンマ線を捉えた可能性があると指摘。フェルミの研究に参加する深沢泰司広島大教授は「従来の理論では説明できず、重力波を出す天体とガンマ線バースト発生の関係を詳しく調べる必要がある」と話している。

 ガンマ線バーストは、波長が短い電磁波のガンマ線が大量に放出される激しい現象。日常的に観測されているが謎は多い。深沢教授によると、理論では、星が一生の最後に起こす超新星爆発や、高密度の2つの中性子星の合体などで発生し、2つのブラックホールの合体では生じないと考えられている。

2016.2.29 12:56 産経

2016年2月21日日曜日

光合成しない植物

光合成しない植物 鹿児島・屋久島で発見 神戸大
*屋久島で発見されたホンゴウソウ科の新種の「ヤクシマソウ」。右上が雄花、その他は雌花=神戸大大学院理学研究科の末次健司特命講師撮影
 神戸大大学院理学研究科の末次健司特命講師(生態学)らの研究グループは19日、鹿児島県の屋久島で新種のホンゴウソウ科植物を発見したと発表した。「ヤクシマソウ」と命名し、漢方製剤大手のツムラ(東京都)が20日発行した植物研究雑誌「ザ・ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ボタニー」に掲載された。
 末次氏は昨年10月、屋久島の低地照葉樹林で、光合成をせず植物や菌から養分を取り込んで生きる「従属栄養植物」を調査。ホンゴウソウに似た植物を約20本見つけ、色や花の形の違いから新種と分かった。


 ヤクシマソウは光合成をせず、菌類に寄生し、菌糸を根から取り込んで育つ。普段は地下で養分を蓄え、9〜10月のみ3〜5センチの花茎を地上に現し、一つの茎に黒紫色の雄花と雌花が付く。末次氏は「発見は、屋久島の樹林の豊かさの象徴で、低地原生林の貴重さを示した」と話した。【松本杏】毎日新聞2016221日 1241

2016年2月20日土曜日

3月5日に小惑星が地球スレスレを通過

35日に小惑星が地球スレスレを通過、NASAが発表
人工衛星より内側に近づく可能性も、太陽と重なり予測困難

*小惑星2013 TX68は、一部の人工衛星よりも地球に近いところをかすめるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY ESA/NASA

 小惑星が地球に接近している。地球へ衝突することはまずないが、かなりスレスレのところを通過しそうだ。
 NASAの発表によれば、小惑星2013 TX68は米国時間の35日に地球をフライバイ(接近通過)する。推定されている最接近時の距離は、静止軌道衛星の高度の約半分である17000キロから、月までの距離の35倍ほどの1400万キロと大きな幅がある。
 2013 TX68は現在、太陽の方向から地球へ向かって来ている。太陽光に遮られて姿が見えないため、最接近時の距離を正確に予測するのは難しいという。

チェリャビンスクで爆発した隕石の1.5
 今のところ、TX68 の大きさは直径30メートルと推定されている。これは、2013年にロシアのチェリャビンスクで爆発した隕石の1.5倍である。この爆発による衝撃波で、付近では窓ガラスが割れるなどして約1000人が負傷した。TX68級の小惑星が同じように空中で爆発すれば、その2倍のエネルギーを発すると見られている。


 今回は地球に衝突しないとされているが、計算によると次にTX68が地球へ接近する2017928日には、25000万分の1というきわめて小さな確率で地球に衝突する恐れがあるという。2016.02.19 ナショジオ

2016年2月18日木曜日

10人中7人、免疫抑制成功

10人中7人、免疫抑制成功 肝移植後、2年超薬なし
 生体肝移植後の拒絶反応を抑え、免疫抑制剤に頼らずに済む臨床研究を進める北海道大と順天堂大の研究チームは18日、臓器提供者と移植患者のリンパ球などから培養した特殊な細胞を使い、成人患者10人のうち7人が2年以上も免疫抑制剤なしで日常生活を送ることに成功したと発表した。研究チームは今後、この手法を一般的な治療法として確立させることを目指しており、実現すれば患者の負担を大幅に軽減できそうだ。

 臓器移植を受けた患者は通常、免疫抑制剤を生涯服用する。免疫力が弱まるので感染症やがんになったり、薬の副作用で腎不全、糖尿病を発症したりする恐れが指摘されている。(共同)2016218 1345分 東京

脳の萎縮予防、中年期の運動が決め手に

脳の萎縮予防、中年期の運動が決め手に 米調査
*研究の結果、運動により脳の萎縮や認知機能の低下を食い止められる可能性が示された
(CNN) 中年期の運動能力の低さと、年を取ってからの脳の萎縮には関係があるという調査結果が、このほど神経学会誌のオンライン版に発表された。
脳は年を取ると萎縮して認知機能を低下させ、認知症につながることもある。しかし研究チームによれば、運動によって脳の萎縮や認知機能の低下を食い止められる可能性があるという。
米ボストン大学などの研究チームは、認知症や心疾患のない平均年齢40歳の約1500人にランニングマシンで運動してもらうテストを実施し、20年後に再度テストを行って、脳の状態を磁気共鳴断層撮影(MRI)装置で調べた。
その結果、20年後、ランニングマシンの運動成績が良くなかった人は、脳が萎縮していることが分かった。

運動成績が低かった人のうち、心疾患の症状がなく、高血圧の薬も飲んでいない人は、脳の老化が1年分加速していた。一方、心疾患の症状があったり薬を飲んだりしている人は、2年分の脳の老化が進んでいた。
運動能力は、ランニングマシンで心拍数が一定の数値に達するまで走れる時間で測定した。
運動能力と高齢者の認知機能との関連は別の研究でも明らかになっている。2015年5月には、中年期の運動能力が高いほど、5年後の脳の萎縮も少ないという研究結果が発表されていた。

ボストン大学医学部のニコール・スパルタノ氏は今回の研究結果について、特に心疾患を持つ人にとっては脳の加齢を防ぐために運動が大切なことを物語っていると解説する。脳の健康のためには中年期の運動が大切だと同氏は説き、「運動をすれば血流が増え、より多くの酸素が脳に運ばれて、年を取ってからの認知力の低下を防げるかもしれない」と話している。2016.02.16 Tue posted at 13:05 JST

404カラットの巨大ダイヤ

404カラットの巨大ダイヤ、アンゴラで発見
*アンゴラで発掘された404カラットの巨大ダイヤモンド=Lulo Diamond Company
ニューヨーク(CNNMoney) 鉱山開発会社のルカパは15日、史上最大級となる404.2カラットの巨大ダイヤモンドがアフリカ南西部アンゴラの鉱山で発掘されたと発表した。
巨大ダイヤはアンゴラダイヤモンド公社などとの共同プロジェクトで発見された。直径は7センチとクレジットカードほど。米小売り業者が色や透明度の鑑定を行った結果、不純物がほぼゼロのダイヤと判定したという。
色は完全に無色の「D」判定。米宝石学会によれば、これはホワイトダイヤモンドの中では最も希少で高い価値がある。
同プロジェクトでは2015年からアンゴラ中部の鉱山開発に着手し、これまでに「大粒の特別なダイヤモンド」を60個以上産出しているという。
ルカパはオーストラリアの証券取引所に上場しているが、今回の発表を控えて数日前から取引を中止していた。15日に取引が再開されると株価は30%急騰した。
同社のマイルズ・ケネディ会長はオーストラリアのABC放送の取材に対し、このダイヤには2000万ドル(約23億円)程度の価値があると語った。
アンゴラは世界4位のダイヤモンド産出国。今回のダイヤは、2007年に発掘された217.4カラットのダイヤ「アンゴラの星」を上回って同国では史上最大、これまでに世界で発見された中では27番目の大きさになる。
史上最大のダイヤは南アフリカで1905年に発見された3106カラットの「カリナン」で、原石はカットされて英国の王冠にあしらわれ、ロンドン塔に展示されている。2016.02.16 Tue posted at 14:32 JST

2016年2月14日日曜日

高梨沙羅、圧勝でW杯10連勝

高梨沙羅、圧勝でW杯10連勝…ジャンプ女子
*W杯10連勝を飾った高梨(AP)
 ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子は7日、オーストリアのヒンツェンバッハで個人第12戦(HS94メートル、K点85メートル)が行われ、高梨沙羅(クラレ)が圧勝でW杯10連勝を果たし、自己記録を更新した。

 今季12戦で11勝目、W杯通算41勝目。高梨は98メートル、90メートルを飛び、260・1点で前日の第11戦に続く連日の優勝を飾った。ダニエラ・イラシュコ(オーストリア)が242点で2位。勢藤優花(北海道メディカルスポーツ専門学校)は18位、伊藤有希(土屋ホーム)は20位、岩渕香里(松本大)は30位だった。(時事)20160207 2240分 読売

2016年2月12日金曜日

「重力波」米で初観測

アインシュタイン予言の「重力波」、米で初観測
 【ワシントン=三井誠】米カリフォルニア工科大と米マサチューセッツ工科大などの研究チームは11日、物理学者アインシュタイン(1879~1955年)が100年前に一般相対性理論で存在を予言した重力波について「初めて観測した」と発表した。
 これまで直接観測した例はなく、宇宙初期の状態などを重力波で観測する「重力波天文学」の道を開く成果だ。

 重力波は、物体の重さが時間と空間(時空)にゆがみを作り、物体が運動した時、そのゆがみがさざ波のように、光速で宇宙に伝わる現象。物体が重くて速く動くほど、強い重力波が出る。
 研究チームによると、米国にある巨大観測装置LIGOライゴが昨年9月14日、重力波を検出した。質量が太陽の29倍と36倍のブラックホールが13億年前に合体した時に、太陽3個分の質量がエネルギーとなった重力波が発生し、地球に届いたとみられる。ブラックホールが合体する瞬間を捉えたのも、世界初の快挙となる。

 ワシントンで11日に記者会見したデビッド・ライツLIGOリーダーは「我々は重力波を手に入れた」と宣言。会場から、大きな拍手が起きた。20160212 0030分 読売

2016年2月11日木曜日

弥生時代の銅剣にサメの線刻画

弥生時代の銅剣にサメの線刻画…海への畏れ?
*銅剣に線刻されていたサメ(奈良文化財研究所で)=長沖真未撮影
 鳥取県立博物館(鳥取市)が所蔵する弥生時代中期の銅剣(長さ42センチ)にサメの線刻画が確認され、調査した奈良文化財研究所と同県が10日、発表した。

 鋳造後の青銅器に線刻画が見つかるのは全国初。海への畏れや恩恵の象徴と考えられるという。
 鳥取市の個人が1990年度に寄贈したもので、出土地は不明。根元近くに、鋭いひれのついた流線形の体(長さ2・3センチ)が描かれている。紀元前2世紀頃の鋳造で、同1世紀頃にサメが描かれたと判明した。

 同研究所の難波洋三・埋蔵文化財センター長は「サメはこの地域独自のマークだったのかもしれない」と話している20160211 1140分 読売

2016年2月9日火曜日

「月火水木金土」が勢ぞろい

「月火水木金土」が勢ぞろい 愛知の写真家、撮影に成功
*勢ぞろいした月と惑星。左から水星、金星、土星、月、火星、木星=3日午前5時50分、愛知県岡崎市山綱町の桑谷展望台、全日写連会員の藤井哲也さん撮影
 愛知県岡崎市の全日写連会員、藤井哲也さん(61)が、月、火星、水星、木星、金星、土星が勢ぞろいした写真の撮影に成功した。名古屋市科学館によると、時期やタイミングなどがあり、1枚に収めることも、これほどきれいに写すことも極めて難しいという。


 岡崎市山綱町で3日午前6時ごろ、魚眼レンズを使って撮影した。「狙っていたので撮れた時は興奮した。寒い中、展望台までの長い坂道を頑張って上ったかいがありました」と藤井さん。「『日』があれば一週間がそろったんですけどね」2016290750分 朝日

2016年2月7日日曜日

高梨がW杯9連勝

エース高梨がW杯9連勝、今季10勝目 W杯女子第11戦
*今季10勝目を挙げ、表彰台に立つ高梨=オーストリア・ヒンツェンバッハ(AP)
 ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子は6日、オーストリアのヒンツェンバッハで個人第11戦(HS94メートル、K点85メートル)が行われ、高梨沙羅(クラレ)が自己最多の9連勝、今季10勝目を飾った。

 高梨は1回目にただ一人90メートルを越える93・5メートル、2回目も93メートルを飛んで、海外のライバル勢を寄せ付けずに圧勝した。(共同)2016.2.6 22:39 産経

2016年2月5日金曜日

謎の深海生物、60年経て正体判明

謎の深海生物、60年経て正体判明
*珍渦虫は進化の枝分かれの初期に位置する=Monteray Bay Aquarium Research I
(CNN) 60年前に深海で見つかった紫色の靴下のような姿をした生物が、進化の初期段階の生物だったことが分かったとして、オーストラリアや米国の研究チームが科学誌ネイチャーに論文を発表した。生物の進化の過程について探る手がかりになるとしている。
「珍渦虫(ちんうずむし)」と呼ばれるこの生物は、脳も目も生殖器もなく、1つだけある開口部から餌を取り込んで排泄(はいせつ)物を出す。スウェーデン沖で発見され、1949年に報告されていながら、正体についてはさまざまな説があった。当初は軟体動物と誤解され、複雑な生物が退化して単純な生物になったという説が有力視されていたという。
しかし西オーストラリア博物館のネリダ・ウィルソン研究員らのチームが調べた結果、珍渦虫はもともと進化の枝分かれの初期に位置する単純な生物だったことが分かったという。

研究チームは12年前に太平洋でこの生物の4種類の新種を発見し、履き捨てた靴下のような姿をしていたことから「紫の靴下」というニックネームを付けた。遺伝子などを詳しく調べた結果、複雑な生物が退化したのではなく、最初から単純な生物だったとの結論に至ったとしている。2016.02.05 Fri posted at 10:58 JST

「銀河風」撮影成功

激しく噴き出すガス「銀河風」、鮮明に撮影成功
*すばる望遠鏡が捉えた合体した銀河。白く光る銀河からガス(赤い部分)が噴き出している(広島大、国立天文台提供)
 銀河同士が合体する際に、30万光年もの広範囲にわたって激しく噴き出すガス「銀河風」を鮮明に撮影することに成功したと、広島大や国立天文台などが発表した。
 ガスは複雑な形で広がっており、銀河の進化を探る研究に役立つと期待される。論文は米科学誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に近く掲載される。

 宇宙には銀河が数千億以上あるとされ、頻繁に衝突や合体を繰り返している。合体後は銀河内のガスが急激に圧縮され、巨大な星が大量に作られる。この際、寿命の短い星が爆発するなどして、ガスが銀河の外に吹き飛ぶ銀河風が発生する。
 広島大の吉田道利・宇宙科学センター長らは、国立天文台の「すばる望遠鏡」(米ハワイ州)に独自開発した特殊フィルターを装着。地球から約3億5000万光年先にある合体中の銀河を観測した。ガスの状態から、約10億年前に始まった合体の最終段階にあたる約8000万年前以降に、星の大量生成が3回以上起きていたことがわかった。


 地球がある天の川銀河は、隣のアンドロメダ銀河と数十億年後に合体する可能性があり、吉田センター長は「将来の姿の予測につながる可能性がある」と話す。20160205 1321分 読売

薄毛 原因は

薄毛
原因は、たんぱく質減少 治療薬開発へ、仕組み解明 医科歯科大チーム
 加齢によって薄毛になる仕組みを解明したと、東京医科歯科大の西村栄美教授(幹細胞医学)らのチームが5日付の米科学誌サイエンスに発表する。毛を作るのに必要な毛包幹細胞(もうほうかんさいぼう)を保護するたんぱく質「17型コラーゲン」が加齢に伴って減少、毛包幹細胞が毛穴の奥から皮膚の表面へと移動して、フケとして落ちてしまうという。【斎藤広子】
 ヒトの毛髪は3〜5年で寿命を迎えて抜け、同じ場所から新しい毛髪の成長が始まる。この際、皮膚の毛穴にある毛包幹細胞は、毛の基になる細胞の再生産に使われる。

 西村教授らはマウスでも2歳を過ぎると脱毛することに注目。生きたマウスで毛包幹細胞の働きを長期間追ったところ、加齢とともに自己複製をしなくなり、徐々に表皮へと移動して、最後はフケやアカとして落ちてしまうことが分かった。生えてくる毛は細くなり、毛穴も小さくなって最後には消えた。
 さらに、働かなくなった毛包幹細胞では、17型コラーゲンを分解する物質が分泌されていることも発見。加齢に伴い、毛包幹細胞のDNAに損傷が蓄積したためと判断した。17型コラーゲンが失われないよう遺伝子操作したマウスでは、通常のマウスに比べ、2歳時点での1ミリ四方あたりの毛穴の数が1・4倍多かった。

 健康な女性の頭皮を調べたところ、35〜45歳の3人は縮小した毛穴が平均2・2%だったのに対し、55〜70歳の5人では平均約15%と多かった。

 西村教授は「17型コラーゲンの枯渇を抑える物質が見つかれば、薄毛の治療薬になり、がんの放射線治療で起こる脱毛にも有効な可能性がある。数年以内に候補物質を探し、10年以内には実用化したい」と話した。毎日新聞201625日 東京朝刊

2016年2月1日月曜日

4万年前にマンモス狩猟

4万年前にマンモス狩猟 北極圏に人類進出
*4万年前にマンモス狩猟 北極圏に人類進出(米科学誌サイエンス提供)
 中央シベリアの凍土で発掘された約4万5000年前のマンモスの骨に、狩猟によるとみられる傷痕が残っているのを見つけたと、ロシアの研究チームが米科学誌サイエンスに発表した。これまで人類が北極圏に広がったのは約3万5000年前と考えられていたが、1万年ほどさかのぼる可能性を示すという。

 チームは2012年、北極海に面した断崖から約4万5000年前のマンモスの全身骨格を発見。体長約3メートル、高さ約1.8メートルの15歳ほどの若い雄で、背には脂肪などの組織が残っていた。

 発掘して調べたところ、肩や頬、あばらの骨などに多くの傷があった。形状から、先のとがった武器で突かれたり、刃物状のもので切られたりした際の傷と判明。マンモスの特徴である湾曲した牙には、根元から切り取ろうとした傷もあり、狩猟によってできた傷痕と判断した。2016.2.1 13:10 産経

【ジカ熱】蚊がウイルスを媒介

【ジカ熱】蚊がウイルスを媒介 
胎児の小頭症との関連の疑い 厚労省も注意呼びかけ
 ジカ熱は、デング熱や日本脳炎などを引き起こすウイルスの仲間である「ジカウイルス」をもつ蚊に刺されることで感染する。
 ウイルスを媒介するのは、ネッタイシマカや、日本にも北海道を除く地域に生息するヒトスジシマカで、人から人へは感染しない。

 国立感染症研究所によると、これらの蚊に刺されて3~12日で発症するとされ、発熱や発疹、筋肉痛などの症状が出る。ワクチンや治療薬はないが、症状は軽く2~7日で治り、後遺症もほぼない。感染しても症状が出なかったり気づかなかったりすることも多い。
 2015年以降、南米を中心に流行し、ブラジルでは胎児が小頭症と確認された妊婦の羊水からジカウイルスの遺伝子が検出されるなど、ウイルスと胎児の小頭症の関連が疑われている。妊婦が感染すると胎児も感染するためとされるが、「メカニズムは分かっていない」(厚生労働省)という。


 日本国内では平成25年以降、フランス領ポリネシアとタイから帰国した日本人3人が、現地で蚊に刺され帰国後に発症した。今夏のリオデジャネイロ五輪で南米との行き来が増えることが予想されるため、厚労省は今月、妊婦はなるべく南米への渡航を控えるよう呼びかけを始めた。2016.2.1 05:30 産経

ISSの船外で、微細菌が成長

国際宇宙ステーション(ISS)の船外特別カプセルの中で、微細菌が成長した。菌は、火星の表面と同じ環境の中で生き延びただけでなく、成長し、新たな群体を形成したという。


ISSでは、火星の表面と同じ環境の中で2種類の細菌(Cryptomyces antarcticusCryptomyces menteri)を繁殖させる実験が行われ、菌は新しい環境に適応しただけでなく、成長し、繁殖するとの結論に達した。

2種類の細菌は、船外の研究用特別カプセルの中に置かれていた。
カプセル中は、火星の表面と全く同じである、二酸化炭素95パーセント、アルゴン1・6パーセント、酸素0.15パーセント、窒素2.7パーセントに保たれた。
実験の結果、細菌の60パーセントには全く変化がなかったが、約10パーセントの細菌が成長し、新たな群体を形成できることが分かった。RT(ロシアトゥデイ)英語サイトが報じた。

この2種類の細菌(Cryptomyces antarcticus Cryptomyces menteri)は、地球上で最も寒さの厳しい場所の一つである、南極のマクマードドライバレーに生息している。マクマードドライバレーは氷に覆われてはおらず、複数の場所では、すでに200万年も雨が降っていない。
ISSで行われた実験は、火星で以前、同じような生物が育っていた可能性があること、さらにはこのような環境の中でも、生命にとって必要な条件があることを示した。20160131 22:52 Sputonik