2008年8月8日金曜日

2008年8月2日土曜日

2008年8月1日金曜日

こんな研究をやっています4/4


こんな研究をやっています4/4

~アルツハイマー症への貢献と体内宅急便を目指して~

これは昨年xx大学xx部「公開講座」の際に用意した講演要旨です。4回に分けて掲載します。4回目です。


定められた家(細胞や臓器)にたどり着いた後は、さらに別の種類のペプチド鎖を用いて二重修飾しておけば、効率よく細胞内に取り込まれ(親展)、目的とする場所で目的とする機能を発揮させ得ることを示すことができました。

我々の研究の特徴としては、いろいろな機能を持つペプチドと脂質の複合体であるペプチド脂質を固相合成法によって予め合成し、これをリポソームに組み込むという新たな方法を開発した点にあります。この方法によって、これまで困難であった効率の良いリポソーム膜表面への化学修飾を可能としました。

さらに、複数の機能性ペプチドを用いて二重修飾することにより遺伝子発現の亢進を達成しました。すなわち、ペプチドに基づく細胞認識、細胞内取り込み、細胞質への移行、血中滞留性の向上など特定の機能をリポソームに発現させることができることになります。

医薬品応用を念頭においた機能性リポソームを開発するうえで、抗原性が低く、安価に大量調製が容易な機能性ペプチドは適したリガンドであるといえます。アミノ酸の配列を変えることで様々な機能を付与することができますし、かつ、多重修飾による複数の機能付与の可能性も示すことができました。

波及効果も大きいものがあると思われ、将来的には、薬剤内包リポソーム膜表面修飾により、ペプチド鎖の選択のみで、標的分子(標的細胞)との特異的な相互作用、生体膜融合による部位選択的薬剤送達、各種酵素選択性の活用、血液脳関門透過機能の付与(上記AD用医薬品とも関連する)などの道を切り拓いていきたいと考えています。これにより医薬品自体がもつ物理化学的性質の不利な条件を容易に克服しうる可能性も秘めています。 

2007.10記)